20240525不耕起区の作業説明(MOA指導員 大下穣)

不耕起について 〜簡易耕起〜

今日はトマトとキュウリと一番端にスイカを植えます。不耕起区ということなのですが、不耕起は何にもしない、というイメージをお持ちの方も当然いると思います。でも、ちょっと手を加えてあげないとこの環境では難しいというかなという場面もあります。例えば、私がかかわるその前の年までの話を聞くと、「草に負けて思いのほかうまくいかなかった」との事。

私は「ちょっと手を加えた不耕起」といえば良いのか、簡易耕起、簡単な耕起、ひと手を加えるくらいの要は大きな機械、トラクタや管理機などを使わずにできるような栽培方法という感じの不耕起区をイメージしています。スコップを使ってザクッと刺しますが、「もうそれ不耕起ではない」と言われたらもうそれまでですので、そこだけはご容赦ください。

(圃場の)土は一番上の「表層」、その下の「作土」と言う根が伸びる層、さらにその下の「下層土」というあまり生物がいない層の3段に分かれます。この作土があまり撹拌されないように、すなわちもともと持っている土の構造をそのまま活かす為、今日は土を反転したり、混ぜたりするような作業は行いません。土をほぐすだけで植えてあげるという、その様なイメージの不耕起です。

トマト・キュウリの定植

(写真:トマト・キュウリ区 左右の土の様子)

(トマト・キュウリ区の右側が)少々赤いというのがわかると思います。これは下層土が表に出ている状態です。私が(ここに)関わる前からこの様な状態だったのですが、養分といいますか土の力が無い状態なので、おそらくここに何も入れなかったら、入れないなりの生育をすると思います。しかしそれに比べて区画の左側は、土の色も茶色で程よく有機物を含んだ状態ができているので、この状態を活かしながら今日はここに植えようと思います。

ネットの下左側に大玉トマト、右側にミニトマト、そしてその右隣の区画にキュウリを2列定植します。植える間隔(株間)は80センチです。昨日は植える場所の土の表層を草刈り機で丁寧に削りました。これはカマや三角鍬(三角のクワ)で行っても同様かと思います。先ほども言ったように土の構造を壊さないように心掛けます。

自然界といいますか、山に未熟なものがいきなり入ることはありません。表層にたまった落ち葉がゆっくりと小動物や微生物に分解され、それが有機物としてたまり土はできていきます。そのイメージを大事にしつつ、未熟なものがその作土の中に入らないよう、大事に管理したいと考えています。

トマト・キュウリの定植

1)根が下の方に入りやすいように、スコップで土をほぐす。深ければ深いほど良い。

2)ミツグワで土をできるだけ細かく砕く

3)苗を水つけ、しっかりと水を含ませる(ドブ漬け)

4)きちんと活着するように土をキュッと押さえた後、周りの草を被せて土を保護する。

土への考え方ですが砂漠以外、基本的に草は生えています。あくまで推測ですが、できるだけ土を裸にしたくない、なにかで土を覆ってやる必要があるというのが草の役割ではないか。土の中で活動するたくさんの微生物たちは直射日光が嫌いで、それを保護するという意味もあるのではないか。土を覆い水分を保持する事で微生物が活性化していきます。そういう「作物の家(住処)」を作ってあげるというのが今日の作業です。

今回はスコップを使用しましたが、土が柔らかければ移植ゴテで植え穴をあけるだけでも良いです。それでもうまくいくなら来年からそれをスタンダードにしましょう。「一番手のかからない方法で、いかに省力化して楽をするか」。これがこの不耕起のテーマなので「もっとこうした方が良いのでは」という方法があれば皆さん、教えて下さい。

キュウリの定植

キュウリですが、今日は実験的に左側の列だけネギを一緒に混植して植え、右側はキュウリだけを植えます。ネギを一緒に植える理由は、キュウリの病気を抑制する微生物がネギの根にたくさんいるので、一緒に植えるとキュウリの病気が出にくいという昔から言われている予防薬的な効果を期待したものです。植える時は、お互いの根をからませる様に植えます。人によっては最初からキュウリとネギの苗を一緒にしたポットを作る人もいます。

スイカの定植

今年の作付けを決定するにあたり夏場に何を食べたいかということで、スイカに決めました。今回はピノガールという種の少ない品種を選びました。去年ここはサトイモが植えていました。前回のオリエンテーションでも説明しましたが、サトイモを栽培するというよりは土を柔らかくする為にサトイモを入れて、という次の作物への効果を期待しての栽培です。サトイモの白い根がワーと張り、スコップで耕す必要のないくらいに土が柔らかくなります。

サトイモを収穫した後は小さな畝が残るのですが、そこは本当にスカスカの土が残っている状態になります。これは耕すのはもったいない。このやわらかい状態のまま、植え穴だけをあけてスイカの苗を差し込むのですが、その時にネギも一緒に植えてあげます。これはキュウリの時と同様の理由です。

苗の間隔(株間)は1メートル。真ん中から上側は去年サトイモを作っていないので、土が若干固いかもしれません。ちょっと固いかなと思ったら、スコップを入れても問題ないです。真ん中までは本当に柔らかい状態になっています。ツルは折らないように丁寧にお願いします。


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